solivachi2

konoreのブログ、話がよく飛ぶ

メヒカリテ

 水底で色付きのペンをつかった。壁の中の死体を忘れた。黒い箱に光が散る。数え切れない粒子の群れ。通気ダクトを走る煙。

 過ぎ去っていくのに見過ごせないことばかり記す。人の筆先に残った色が大切なように思われる。それを洗った盥の中で針金のように渦巻く俺。髪がまとまりやがて流水に解き放たれる。

 夢を夢と認識したことがない。現実を現実と意識したこともない。とろけ続けるようでとろけきらない鈍い神経が一筆を振る。

「千年溶けない氷を食べよう。土に還ろう。一緒にいようよ」。巻き戻したら水底に向かう。

 あの時ほとりで妖精を見た。鰓を備えた馬もいた。見えるその先になりたくて、準備ができたら手を出した。実際君がいなくてよかった。青い糜爛のほとりの赤。ずっとつかえない色だから。

 君はたばこを吸っているのか咳き込んでんのかわからない。血の分水嶺。生きた魚。水車を置いていったのは誰? 時計の針が新しい血を求めてる。聖なる眠気。袋の鼠。ラインマーカーで眼の前の膜を切り裂いた。想像よりも明るい世界。人っ子ひとりいない夜。閉じ込められた氷と酒。融点を得て溶けていく。

 山の上から雪崩が迫ってくる。とても硬そうには見えない。サイズの問題だ。学があるとかないとかいう、想像力に影響するのは何なんだ。湖面を走るボートのように開かれていくファスナーみたいに時が流れていこうとする。めくるめくのを心というのは弱ってってる証拠かも。

 スロットで遊ぶゲーム感覚で追加エピソードを解放したい。死んだ人間に拐かされてる君の語り口を盗みたい。馬乗りになって顔を踏まれてもそんなに痛いわけもない。果実であろうと雑魚であろうと大概ジャンルは変わらない。

 肌が何層もある。大切なものに触れないように、誰かのつくりつけの拒絶。神はスヌーカーをポケットへ、よっしゃと叫んで日が沈む。爽快なようで伸びない乾き。叩いてくれ、と奴隷は叫ぶ。視界が赤く染まったあとの静かに冷えた幕の青。肢体を包んでくるくる回転しながら底へ向かう。

 奥に詰めようとしたけど私しかいなかった。広大無辺を埋め尽くせない。雨がさかんに一層を滑る。道を作っては蒸発する。電話番号をすぐ忘れる。

 海の底の砂漠。海の底の川。海の底の山。海の底のクレーター。海の底の墓。海の底の傘。眼球の奥に汗が溜まる。文字を描画して喉を突く。ページがふやけて開かない。背表紙にまとわりつく視線。色とりどりの透明。プリズムになって照らされる。指揮するように触れるコンパス、何処に行っても果たせるという。

 知っているのにつかえない、赤、出て行けば命を取る。強い光にかくれる赤。砂鉄のように集まる熱。少しえぐれた嵐の奥に、ずっと泳げる青が見える。金管の呼気が水面に向かい昇っていった。